複数のベクトル思考を同時進行させる

140729図-1

安定と退化

どうしても人間には油断が生まれる。
おそらくそれは危機感や、欲望の深さに起因するのかもしれない。
逆を言えば、安定を知ることによって進化は促されるのかも。
 
何の話かと言うと、安定した土壌が生まれると思考が止まる、行動が鈍る、判断を誤る人間がいるということです。失敗する、手遅れになるまで状況を読めずに悪化させる人間は確実にその部類だと思います。
かつて徳川幕府が200年以上の栄華を誇っていたのにも関わらず、開国によって滅びたのと似ています。国内にのみ注視して、情報収集を怠った上に、諸藩勢力の行動を包括出来なかった。あの時点で、海外対策、政権構造の改革を断行していれば、徳川家はあそこまで落ちぶれることはなかったかもしれない。長州・薩摩の支配は回避出来た可能性もあるし、日本のかたちは違ったものかもしれなかった。
 
ワールドカップの日本代表も、似たような印象があります。ドイツ大会、ブラジル大会の両方とも油断してエース頼みのチーム構成にしたので崩壊してしまった。結果を出している人間に頼る、その結果において負けない試合が出来たので満足してしまうのです。内容をともなっていない状況でも、表面的な結果に満足してしまうのは、その人間の器の小ささを示すことになります。
今回のブラジル代表も同じで、1人の選手に依存したチーム作りは脆弱なのに放置してしまうのです。

並行で進める思考

韓国のサムスン、LGはウォン安を背景にしてコストダウンして、技術者の引き抜きにより品質を向上させました。結果としてコストダウンと高品質を手に入れ、世界市場の中でシェアを拡大させることに成功しました。その間、国内メーカーは陳腐でどうしようもない商品を高い値段で乱発してユーザーから冷ややかな目で見られたのです。スマートフォンについては、かつてのブランドは地に落ちて海外メーカーが主流を形成しています。
 
目の前にある業務を意識しながら、常に予測分析を行い、開発と改革を進めることは大企業にとどまらず、個人にも必要な観点です。その重要性を理解せず、現状に甘んじる人間がいるとすれば障害になるでしょう。そのような人間の行動パターンは、過去の習慣にとらわれ、現状維持のみを優先し、未来志向を否定します。「先のことはわからない」という著名人がいますが、嘘か馬鹿です。テスト前に「全然勉強してない」と嘘をつくか、本当にしてなくて成績が悪いバカかみたいな話です。 

未来予測

全体が同じく豊かになる時代は、とっくに終焉を迎えています。
おそらく今後の社会では、格差は拡大していくことになるでしょう。
福祉関係の予算が年間1兆円規模で拡大するぐらい増加していく中で、高齢者同士の格差は広がります。おそらく下層部分の保護に相当な金額が税金で投入されることになるかもしれません。そうなれば財政を逼迫して、下の世代へ負担は増大します。負担が増加すればするほど格差は明確になり、貧困が蔓延するのです。

現在でも生活保護は拡大しているし、同居が減っている中で孤独死も増加しています。
独身者も過去より確実に増加している中で、そういう弱者を見殺しにするのでしょうか?
対応に税金が投入され、その費用は増えていくとしか考えられません。

 
また、高齢者が増加して若年層が減るということは食事に関する需要が変化することにもなります。そこに来て大企業の市場独占が顕著になる昨今ですから、大企業はその余波を正面から受けることになります。その中で、いくつの企業が生き残り、今のスタイルを続けられるのか。

若年層が半分になるのに、そういう人をターゲットにしている市場がこれからも拡大しないでしょう。成長するには海外に出るしかありません。ということは海外での仕事は増えるけど、国内では減少するということになります。だから国内でその利益を受けていた層は、だぶつき不要になるのです。

 
どう考えても市場は変化していくのに、まだなんとかなると思っている人々がいるのです。
そういう会社は確実に、業績を悪化させ、回復は難しいでしょう。
だから、未来予測と分析が必要なのです。そういうことを議論する場を必要とするわけなのです。

ヒトラーや大政翼賛会は道を誤るしかなかった

反対意見が出ない、機能しない土壌であると、過ちを犯す可能性は大きいです。
ヒトラーは完全独裁をしたので、ロシア戦、アメリカの参戦を前にしても戦争を進めました。その間に暗殺事件に参加した部下や反対意見をした部下で有能な人間も失いました。日本でも大政翼賛会が発足し、野党が消失し、軍の大臣が現役軍人なったので、反対意見を封殺する土壌が生まれ、戦況が悪化した後半においても戦争は止められなくなったのです。
問題は情勢が不利になったのに、権力を固辞しようとする人間が状況を悪化させるということです。そもそも権力者は第三者や、有能な反対意見を持つ人間を失っては、チェック機能を失い、過ちを黙殺してしまう傾向にあります。
 
ここまで書いた同時並行で行うべきと言ったことが、権力者によって都合の良いものへねじ曲げられてしまうのです。個人においても同様で、状況が悪化しているにも関わらず見て見ないふりをするようになってしまうというのは深刻な問題なのです。
 
今回の記事でのポイントは

  • 目の前のことで満足せずに、常に状況を見て変化する準備を怠らない
  • 自分以外の意見に耳を傾けることを嫌がらない
  • 状況に最適な判断が出来るように、自分の意志を冷静に観察する
  • 明らかに悪化する状況の中で、変化を拒む人間は障害になる
  • 裸の王様にならないように心がける

ということでしょう。
未来志向で生きていくには、とても重要なことだと思って書きました。
自分に対しての、戒めでもあります。
現状に甘んじることがないように、心がけたいです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です